リカレント教育の意味とリスキリングとの違いとは？女性におすすめなのはどっち？

「リカレント教育」って、聞いたことありますか？

「リスキリング」と一緒に耳にしたことがあるかもしれませんね。

どちらもキャリアチェンジやスキルアップを意味しますが、微妙な違いがあります。

「リカレント教育」は、日本と海外で意味が変わっており、言葉の使い方や違いが曖昧。

見るサイトによって違うことが書いてある場合もあって、かなり紛らわしく感じる原因となっています。

リカレント教育とリスキリングの違いとは

まず、わかりやすく「リカレント教育」と「リスキリング」の違いを表でまとめました！

リカレント教育とは？

リカレント教育とは「社会人になった後も、仕事に必要な知識や技術を自分のタイミングで学んで、能力を磨き続けていくこと」です。

英語でリカレント：”Re-current”とは、「繰り返す」・「循環する」の意味。

海外で「リカレント教育」と言うと、仕事をいったん辞めるか休職して教育機関で学び、再就職すること。その就労と教育のサイクルを繰り返すことを指します。

ですが、ここ日本では仕事を辞めずに学ぶこともリカレント教育と呼んでいるんです。

厚生労働省や内閣府のホームページを見ても「社会人が仕事に必要な知識やスキルを学んで活かすこと」の意味で語られています。

学校教育からいったん離れたあとも、それぞれのタイミングで学び直し、仕事で求められる能力を磨き続けていくことがますます重要になっています。

このための社会人の学びをリカレント教育と呼んでおり、厚生労働省では、経済産業省・文部科学省等と連携して、学び直しのきっかけともなるキャリア相談や学びにかかる費用の支援などに取り組んでいます。

引用：厚生労働省｜リカレント教育

リカレント教育とは、学校教育からいったん離れて社会に出た後も、それぞれの人の必要なタイミングで再び教育を受け、仕事と教育を繰り返すことです。

日本では、仕事を休まず学び直すスタイルもリカレント教育に含まれ、社会人になってから自分の仕事に関する専門的な知識やスキルを学ぶため、「社会人の学び直し」とも呼ばれます。

引用：政府広報オンライン｜「学び」に遅すぎはない！社会人の学び直し「リカレント教育」

以上から、リカレント教育の定義は「社会人になった後も、仕事に必要な知識や技術を自分のタイミングで学ぶこと。その繰り返し」と言えます。

日本では、「リカレント教育」という言葉には必ずしも「仕事を辞めて学ぶ」という意味は無いんです。

リスキリングとは？

リスキリングとは「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルをアップデートしたり、新しく獲得すること」です。

英語でリスキリング：”Re-skilling”=「再度スキルを身に付ける」の意味。

経済産業省によるリスキリングの定義は以下。

新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること

引用：経済産業省「リスキリングとは―DX時代の人材戦略と世界の潮流―」リスキリングとは

なぜリカレント教育やリスキリングが注目されているのか

次になぜリカレント教育とリスキリングが注目されているのか？

リカレント教育の歴史

「リカレント教育」という言葉が初めて使われたと言われているのが、1969年にベルサイユで開かれた「第6回ヨーロッパ文部大臣会議」。

そこで元スウェーデン文部大臣のオロフ・パルメ氏がスピーチで使い、広く普及したと言われています。

その後、1973年にOECDが「リカレント教育一生涯学習のための戦略」という報告書をまとめたことにより、リカレント教育の概念が確立。

2017年に元首相の安倍晋三氏が「人生100年時代構想会議」のなかで、リカレント教育の拡充を検討することを宣言し「人生100年時代」という言葉が広がり認識されるようになりました。

リカレント教育：人生100年時代と学び直しのニーズ

リンダ・グラットンの著書、「ライフ・シフト」はここ日本でも大きな話題を呼びました。

近年寿命が伸びていることにより、人生100年時代が到来すると予測されています。

少子化による労働人口の減少と定年退職の年齢を引き上げる法律の改正も後押しし、私たちが一生の間で働く期間がますます長くなることは確実でしょう。

働く期間が長くなるということは、仕事で使う知識やスキルをアップデートし、実務に活かすことが求められます。

リスキリング：DXとスキルアップの必要性

リスキリングが急務となっている今。

その背景として挙げられるのが、多くの産業でDX化（デジタル化）の波が押し迫っていること。

データサイエンスや生成AIなど、テクノロジーの台頭によって今までの職種が無くなる、または必要なスキルが大幅に変わることが予想されます。

企業が必要に迫られ、自社の社員やスタッフにデジタルスキルを習得させるケースが多いです。

リスキリングは政府の労働市場改革のメインに

2022年10月、岸田首相が「リスキリング支援に5年で１兆円を投じる」と発表し、話題になりました。

参考：リスキリング支援「5年で1兆円」　岸田首相が所信表明

2023年6月に政府が閣議決定した経済財政運営と改革の基本方針（骨太の方針）でも、目玉に据えた三位一体の労働市場改革の柱の一つとしてリスキリングを掲げているほど。

参考：日本経済新聞:転職促進へ税制見直し　解雇規制緩和触れず　骨太方針

リカレント教育とリスキリング：実施目的や主体の違いほかを解説

リカレント教育とリスキリングの目的

リカレント教育の目的は、個人が自身のキャリアアップのため、身に付けたい知識やスキルを習得することです。

個人が希望のキャリアを叶えるために学ぶことが目的。

リスキリングの目的は、企業がデジタル化に応じて既存の社員にデジタルスキルを身に付けさせること。

それによって企業の存続に必要な人材を確保しようという試みです。

リカレント教育とリスキリング学びの主体

リカレント教育では、学びの主体は個人です。

個人が自発的に自身のキャリア構築のため、知識やスキルの習得を目指します。

リカレント教育は企業で働く人だけではなく、仕事から離れている人、キャリアにブランクがあったり定年退職したりしている人も対象になります。

リスキリングは、企業が主体となって研修やセミナーを通じ社員にデジタル技術を身につけさせることが多いです。

習得スキルは？

リカレント教育の学習内容は、現在の仕事に必要なスキルや知識だけでなく、仕事の幅を広げるための資格取得や新たなスキルの習得、語学学習など、多岐にわたります。

リスキリングの目的は、主に業務のDX化への対応です。

そのため、学習内容は、デジタルスキルやデータサイエンスなどのスキルが中心になります。

引用：独立行政法人情報処理推進機構 DX推進スキル標準（DSS-P）概要 | デジタル人材の育成より

企業はこの標準を元に、自社組織に必要な人材やポジションを把握し、リスキリングに取り組みます。

学習の提供者は？

リカレント教育は大学や専門学校などの教育機関で学ぶことを指します。

よって、学習の提供者は教育機関です。

リスキリングの場合、民間企業が学習の提供を行います。

研修や講座、e-ラーニングなど。

学習期間はどのくらい？

リカレント教育は、実施期間には制限はなく長期間に渡って行われます。

自分が学びたくなった時がベストのタイミング。

学校のコース詳細や予算など、しっかり吟味して取り組みましょう。

リスキリングの実施期間は、比較的に短期間で6~18ヶ月ほど。

参加するプログラムによって異なります。

リカレント教育のメリット・デメリット

リカレント教育のメリット・デメリットについて、個人と企業の観点から解説します。

個人のリカレント教育のメリット

新しい知識や技術を身につけることで、個人の専門性を高め、キャリアの可能性を広げることができます。

また、需要の高いスキルを身につけることで、より良い職業選択や転職の機会が増え流でしょう。

在宅・リモートワークがしたい、フリーランスとして活躍したい場合、リカレント教育でその選択肢をぐっと広げることが可能になりそうですね。

企業のリカレント教育のメリット

社員やスタッフがスキルアップすると、効率的に仕事がまわるようになり生産性が上がるでしょう。

企業がリカレント教育の機会を設ける場合、従業員のスキルアップやキャリアアップを支援することができるわけです。

これにより、従業員のモチベーションや生産性が向上し、企業の競争力強化につながって、社員の定着率が上がる可能性が。

個人のリカレント教育のデメリット

リカレント教育は、時間や費用がかかるため、負担となる場合があります。

スクールやオンライン講座を受講する場合、まとまった時間と費用が必要です。

特にフルタイムで働きながらの学習は、生活のバランスを取るのが難しいです。

学んだことが必ずしも直接のキャリアアップにつながるとは限らず、モチベーションが続かない可能性も。

企業のリカレント教育のデメリット

リカレント教育を実施するには、費用や手間がかかります。

特に従業員のニーズに合わせ、オーダーメイドのプログラムを作成する場合などは、費用がさらに膨らむ可能性があります。

効果的な教育内容を選ぶことが難しく、失敗するリスクも。

従業員が学習に時間を割くことで、作業の効率が一時的に低下する可能性があります。

リカレント教育では、従業員のニーズに合わせて、学習内容を選定する必要があります。

また、学習内容を効果的に実施するためには、カリキュラムや教材の開発、講師の選定など、さまざまな工夫が必要です。

リカレント教育とリスキリング：女性や主婦におすすめなのはどちら？

私たち女性におすすめなのはリカレント教育とリスキリング、どちらなのでしょうか？

リカレント教育がおすすめな人

文部科学省の「マナパス」では、現在の就労状況に関係なく門戸を開いているプログラムを検索できます。

文部科学省の「マナパス」（社会人の学びを応援するポータルサイト）において、社会人の学びに関する情報が幅広くまとめられています。

（１）約5,000の大学・専門学校等の条件別講座検索

（２）自分の学習モデルを見つける修了生インタビュー

（３）費用支援や職種別の学び直しを紹介する特集ページ等

今後もコンテンツの充実を進めていきますので関心のある方はぜひアクセスしてみてください。

引用：厚生労働省｜リカレント教育

本気の「専門学校や大学に入って通いたい！」場合、長期間の学習になるため、時間をじっくりかけて学びたい方におすすめです。

物理的に教育機関に通う場合、身体的・経済的ともに負担がかかってきます。

長期に渡る※ので、それに耐えられる方が向いているでしょう。
※最近は「リカレント教育」とされているプログラムにも、短期間で履修できるコースがあるなどリスキリングとあまり区別がつかなくなってきている傾向はあり

育児や介護をしている方の場合、時間の調整や周囲との役割分担が必要になってくるので、当然周囲や家族の理解が必要です。

リスキリングがおすすめな人

リスキリングは、特にデジタルスキルの普及を目的として導入されたもの。

そのためデータサイエンティスト、デザイナー、ビジネスアーキテクト、ソフトウェアエンジニア、サイバーセキュリティ※を目指す方に向いているでしょう。

※上記はリスキリングにおいて推奨される代表的なDX人材スキル。

リスキリング補助金対象のコースには、幅広い職種の講座が用意されています。

リスキリングにかかる期間は6ヶ月〜と比較的短いので、短期間でスキルを身に付けたい方や、転職を目指したい方におすすめ。

リカレント教育とリスキリングは、どちらも女性がスキルアップを目指すための有効な手段です。

自分の目的や状況に合わせて、どちらを選択するか検討しましょう。

女性が学び直しに取り組む理由と必要性

女性が学び直しに取り組む理由はさまざまですが、以下のような理由が挙げられます。

近年、女性的就業率は上昇しており、女性が社会で活躍する機会が増えています。

しかし、女性は男性に比べてパートや派遣などの非正規雇用で働く人が多く、正社員として働く人の割合は低くなっています。

そのため、女性がキャリアアップやスキルアップを目指すためには、学び直しに取り組むことが必要です。

女性は結婚や出産、育児など、ライフイベントに左右されやすいという特徴があります。

キャリアを中断したり、ブランクが生じたりすることが多くなりがち。

学び直しに取り組むことで、キャリアを再構築したり、スキルアップを図ったりすることが可能に。

また、男性に比べて賃金が比較的低いという傾向も。

これは、女性が男性に比べて非正規雇用で働く人が多く、昇進や昇格の機会が少ないことなどが原因。

女性が賃金格差を解消する一つの手段として、スキルアップを図ることが挙げられます。

シングルマザーにも
子育てと仕事を両立させながら、経済的自立を目指す女性にとって学び直しはこれから不可欠となるでしょう。

【実体験含む】女性に人気のリカレント・リスキリング講座とその事例

女性に人気のリスキリング講座は、以下があります。

Webデザイン、動画制作を学びたい方にはこちらのスクールがおすすめです！

リカレント教育とリスキリング：良くある質問とその回答

リカレント教育やリスキリングに関してよくある質問とその回答をまとめました！

リスキリングとアンラーニング、アップスキリングの違い

リスキリングは新しい職種や技能に適応するために必要なスキルを学ぶことです。

アンラーニングとは、これまでに身につけた知識やスキルのうち、現状に合わなくなったものを捨てることです。

リスキリングと並行して行うことで、より効果的な学びを実現することができます。

アップスキリングは現在の職業で必要なスキルを高めることを指します。

リカレント教育と職業訓練校の違いは？

リカレント教育の施策のひとつとして、職業訓練が位置付けられています。

職業訓練校では、幅広いスキルを無料で学ぶことができます。※テキスト代は個人負担

リカレント教育は、現役で働いている社会人も受講可能なのに対し、職業訓練校は、主に失業者や就職難者を対象とした、職業に必要な知識や技能を身につけるための教育機関です。

リカレント教育と生涯学習の違いは？

リカレント教育は、仕事や生活に必要な知識やスキルを身につけることを目的としていますが、生涯学習は、より広い意味での学びを意味します。

例えば、趣味やスポーツなど教養を深めるための学びも、生涯学習に含まれます。

自分に合ったスタイルで新しいスキルを身に付けよう

これからの時代に必須な「リカレント教育」や「リスキリング」。
日本は世界に遅れを取っているとは言え、導入する企業は増えていくと予想されます。

無理なく学ぶことは継続することにつながります。

など、さまざまなスタイルがあります。

学びは決して一人ではありません。

一緒に学ぶ仲間、メンターたちとの出会いは一生の宝になります。

期待を胸に未来への扉を開きましょう！